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2012年06月28日

アイルランド

6月27日は歴史的な日となったのだろうか。

イギリスのエリザベス女王は、6月27日、アイルランドを訪問し、ベルファストの町で、かつてイギリスと闘争を繰り返していたカトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)の元指導者で、北アイルランド自治政府のマクギネス副首相と会談し、初めて握手を交わしたのだ。

ロンドンがあるグレートブリテン島の西方、アイリッシュ海の向こうにその国はある。
ただし、島全体がアイルランドなのではなく、島の南方約80%がアイルランドで、北側の約20%はイングランド領の北アイルランドである。
面積が北海道程度のこの国は、1169年にブリテン島のノルマン人が攻め入ったときからイングランドとの血に塗られた歴史をもつ国なのだ。

そして、その歴史の大部分において、武力に勝るイングランドは、アイルランドを植民地的に支配してきたのだ。
特に、1800年以降は、イングランドによりアイルランド議会が廃止され、完全にイングランドの一部として組み入れられたのだ。
しかし、アイルランド国民はイングランドの国民になれたわけではない。
この抗争自体、イングランドのプロテスタントとアイルランドのカトリックの宗教戦争である。
アイルランド人は、カトリック刑罰法と言う歴史的な差別法により支配されていくこととなる。

@ カトリック教徒は、医師・教師・法律家になれない。
A カトリック教徒は、軍人・警官になれない。
B カトリック教徒は、武器を持ってはいけない。また、武器の製造・販売はできない。
C カトリックの新聞・書籍は出版・販売してはいけない。
D 都市の商工業者はカトリックの従業員を雇うことを禁じる。
E カトリックの商工業者は、二人以上の従業員を雇うことはできない。
F カトリック教徒は、新たな土地を購入できない。
G カトリック教徒は、収入の10分の1を英国国教会に納税しなければならない。
H 英国の教会の信徒やプロテスタントはカトリックの人々と結婚できない。もし結婚した場合、男は公民権・女は財産相続権を剥奪される。

宗教上の争いは、時として想像を絶する残虐性をもつのだ。

その後、アイルランドを襲った飢饉においても、主食のじゃがいもをイングランドの地主が持ち帰ったりして、800万人のアイルランド人が、餓死などにより440万にまで激減する。

こんな苦難のアイルランドも、第一次世界大戦後の1922年にはアイルランド独立戦争により、南部・西部アイルランドの26地方がイギリス・アイルランド連合王国から分離し、新たにアイルランド自由国となったのだ。
1937年には名称をアイルランド(エール)と変え今に至るが、このとき、アイルランド島の北部、プロテスタントが人口の過半数を占めていた北アイルランド6州は1922年のアイルランドの独立以後もイギリス統治下にとどまった
これが、その後の悲劇を生むことになる。

イングランド領として残った北アイルランドでは、1970年代からIRA暫定派、IRA、INLA、アルスター防衛同盟、アルスター義勇軍、RUCなどの反英勢力がテロを仕掛け、その対象は北アイルランド駐留の英国軍だけでなく、ロンドンの一般市民まで巻き込んでいったのだ。
IRA暫定派などによる市民を巻き込む爆弾テロは1972年だけで1300回にも達しており、一方では、公民権を求める北アイルランド人のデモに英国軍落下傘部隊が攻撃を仕掛けて、市民14人を殺害、13名に重傷を負わせた「血の日曜日事件」も起こっている。

テロ組織がいくつもに分かれているため、停戦の話し合いをするための窓口が定まらず、交渉は難航し、その後30年もの長期にわたって、テロと英軍の軍事行動が繰り返されてきたのだ。
1980年代になると、テロ組織に対して、シリアが武器を供与することで、テロリストが殺傷能力の高い武器を持つことになるなど、抗争は激化、泥沼化していく。

この間、1979年には、エリザベス女王のいとこであるルイス・マウントバッテン伯爵がIRAの仕掛けた爆弾によって暗殺されている。

北アイルランド紛争はIRAなどの内紛もあって、現在はこう着状態ではあるが、解決したわけではない。
双方の知人、親戚、家族が多数犠牲となった事実を忘れるために与えられた時間は余りにも短すぎる。

今回のエリザベス女王のアイルランド訪問が、平和のための第一歩となることを世界中が願っている。
もう、血の復讐劇は終演にしようではないか。
posted by 8ちゃん at 17:21| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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