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2012年12月11日

児童虐待 〜児童養護施設の闇(3)

大阪府の社会福祉協議会が調査した大阪府下にある児童養護施設など39施設に勤務する職員642人に対する聞き取りでは、職員一人当たりの1週間の実質的な勤務時間は、57時間48分となっている。
その内訳を見ると、家事援助やケア行動、施設行事など通常の業務が42時間となり、これだけで、法定労働時間の週40時間を超えているのだが、そのほかに、子どもの処遇についての引き継ぎ会議などが7時間24分、学校や児童相談所などとの連携業務が2時間24分、子どもの情緒や行動への対応が2時間18分にも及んでいたのだ。
さらに、休日も職員の3分の1は常に出勤して、日常業務などにかかわっている現状が浮き彫りになっている。

イギリスでは子ども2人に職員が1人つくし、アメリカでは子ども1人に職員が2人配置されるのが一般的だ。
こんな世界の実情を考えると、日本の児童養護施設に予算的な処遇は未開国並だろう。
こんな基準を作った役人や政治家が、日本という国を支配している不幸を再度認識させられるのだ。

このような、児童養護施設における職員は、日々、過酷な労働を強いられているのだが、現場では、児童を守る立場にある職員自身が身の危険にさらされることがあるのだ。

職員に対する聞き取りでは、児童や保護者から暴言や暴力行為を受けたことがあると答えた職員は、全体の83%にも達しており、その中には、虐待で入所してきた子どもの親が子どもに会わせろと迫り、刃物を出して脅す例もあって、警察を呼んで対処したものもある。
突然、施設に入ってきて、子どもを殴る保護者もいるのだ。

親が、施設に対して「施設での子供の育て方が悪い。」といった本末転倒な文句を言うケースも多く、酔った保護者が施設に大声でそのようなクレームをつけに来るケースもある。
自分の子供が施設に預けられた原因である虐待は棚に上げて、えらそうな育児論を展開するこんな親にも、職員は対応しなければならないのだ。

少年といっても、18歳まで預かれば、若い女性職員に高学年の少年が性的行為を迫った例など、職員が性的欲望のターゲットにされる例もある。

そのほかにも、暴れる子どもを制止しようとして職員が負傷したり、施設の壁を殴ったり、ものにあたるといった例や、高校生の男の子などが若い女性の職員に従わなかったり、威嚇・威圧的な態度をとったりすることは日常茶飯事である。

自身が親などに虐待されて入所してきた少年や児童は、自身の虐待経緯があるため、暴言や暴力などが日常的な感覚の中にあり、職員に対してもそのような行為に出るのだろうか。
比較するのはどうかとも思うが、捨てられたペットなどが、過去に、人間から虐待を受けたケースでは、なかなか人間を近寄らせない。
心の傷は、血の出る傷よりも深い場合があるのだ。


児童養護施設に在籍する児童数は増加の一途を辿っており、親子共に虐待などの問題を抱えている家庭が増えている中で、職員の心と身体の疲労も限界に達しており、追い詰められて自殺する職員や、うつ病を患って退職する職員が後を絶たない。
不幸なことに、職員の中には、その鬱積を児童への暴力に転嫁するものも実際にいるだろう。
そんな暴力職員を庇う気持ちは全くないが、その再発防止のためには、児童養護施設の原状と問題点について、正確な把握と分析を行う必要があるのだ。

この問題を放置すれば、施設内での犯罪の発生も含め、重大な危険性があることは、火を見るより明らかだ。


今回の衆議院議員選挙において、「福祉」という言葉はどの政党も、大声を上げて連呼しているが、具体的な福祉の現状を把握している候補者が、いったいどれくらいいるのだろうか。
少なくとも、児童養護施設に1回でも足を運んで、その現状をその目で見た政治家がいてほしいのだが、票にならないところは、どの政治家も関心がないのだ。

児童は、親の元で幸せに暮らすのが一番である。
しかし、そんな幸せな家庭を知らない児童も日本には多くいるのだ。
親になる資格のない人間が、子供を育てる気持ちもないのに、SEXの享楽だけを求めて、安易に子供を生んでしまう社会では、子供はいつまでも無力な被害者である。

子育てに悩んだときに、親族も、地域も、行政も十分な手助けをすることができず、母親をネグレクトに追い込んではいないだろうか。

児童養護施設に対しても、運動場で遊ぶ児童に対し、「うるさい」と苦情の電話がくることが多いという。
母親が守れなかった、そして、社会が守れなかったこの子供たちには罪はない。


私たちに、今、何ができるのだろうか。


児童福祉法
第1条
すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
すべての児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
第2条
国および地方公共団体は、児童の保護者とともに、自動を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

posted by 8ちゃん at 16:55| Comment(12) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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