役人の考える法律の名前らしく、やたら長いこの法律が成立しそうである。
消費税を増税した際に、スーパーなどが「消費税還元」と銘打ったセールを実施することを禁止する法案で、その目的は、政府の説明では、商品を納める中小企業が、増税分を価格に上乗せできず、経営が圧迫されるような事態を避けるための措置なのだそうだ。
イオンなどの大手スーパーからは、「商売のやり方まで法律で規制するのはおかしい。」などとの反対の声も大きい。
第一、この法律の所管庁は消費者庁であり、消費者を守る立場の役人が「安売りセールをするな!」と言っているのだから、確かにおかしな話ではある。
こんな、セールの名前まで政府が法律まで作って規制するやり方は、まるで北朝鮮か中国のようなもので、自由経済の国を標榜しているのなら、こんなことに政府が口出しするものではないし、安倍内閣の基本方針である「市場原理に基づいた経済」とは小さな政府が理想の筈ではなかったのか。
さすがに、消費税還元以外のセールも禁止するとしていた最初のトーンは弱まってきて、甘利経済財政担当大臣が、「どういう価格設定するとか、いくらで売れということは申し上げてない。」などと、弁明に躍起となっているようだ。
かといって、大手スーパーや大会社が正しいのかと言うと、コイツらは前回、消費税が3%から5%に上がった97年には、自社の値引きセールのために、納入業者や下請け業者からの仕入れ価格を不当に値切るといったことを平気でやっているのだ。
そのために、多数の中小零細の下請け業者が倒産に至ったのである。
元々、下請け企業を泣かすような会社の監督は、こんな法律を作らなくても、公正取引委員会が行なっているはずである。
下請業者に対する大企業という優越的地位にある者が、 取引先に対して不当に不利益を与える行為は、独占禁止法により課徴金という罰条も設けて規制しているのだ。
消費税は、中小零細企業や小さな商店がいくら赤字でも支払わねばならない税金である。
売り上げが1050万円で、経費が1200万円の会社は150万円の赤字で、法人税はかからないが、1000万円の5%である50万円は必ず納めなければならない。
消費税が、8%になれば、80万円の支払いである。
この消費税のアップを販売価格に盛り込めば、1080万円の売り上げになるのだが、販売先の大企業が、この下請け会社に「値段は据え置け。そうでないと取引解消じゃ!」と脅せば、下請け業者は泣く泣く値段を据え置くしかないのだ。
結果、下請け業者は、赤字はそのままで、支払う消費税が50万円から80万円へと増えるのである。
まさに、イジメなのである。
こんなことをさせないのが独占禁止法の趣旨なのだが、現実には、大企業の仕返しを恐れって、中小零細企業は訴えてこない。
一方、大企業はどうか。
トヨタ自動車 2246億円
ソニー 1116億円
日産自動車 987億円
東芝 753億円
キャノン 749億円
これはこれらの会社が2011年3月期の消費税の金額である。
さすがに金額は大きいが、先ほどの中小企業の例と一番大きな違いは、この金額は、国に支払った諸費税の金額ではなく、国から受け取った消費税の金額なのだ。
なぜこんな理不尽なことが起こるのか。
消費税は、輸出をした場合は、税率が0%になるのである。
元々は、海外各国で消費税の定めが異なるため、2重課税防止の目的で作られた制度らしいのだが、非課税ではなく、税率が0%だから、申告ができるのだ。
つまり、自動車の材料の鉄板を仕入れる値段が、1050億円(消費税が50億円)で、自動車の販売価格が1200億円(消費税0%)のケースだと、消費税申告書には、受け取り消費税から支払い消費税を引いた金額が消費税額となるので、0円−50億円=マイナス50億円となって、国に支払ってもいない消費税が国から50億円もプレゼントされるのである。
連結売上げ20兆円のうち、5分の4が輸出であるトヨタ自動車などは、5年間で約1兆3000億円の消費税を国からプレゼントされているのである。
アホか。
消費税還元セールに頼るような日々の暮らしが厳しい消費者が、コツコツと消費税を支払っている一方で、大企業が国から巨額の消費税を受け取って、ヌクヌクしている。
消費税率が上がれば、こんな大企業の還付税(戻し税)の金額が増えるのである。
来年の消費税率アップには、便乗値上げも出てくるだろう。
消費税が支払えずに倒産する町工場も多いだろう。
消費者も、中小零細企業も、結局は痛い目に遭うのは弱者なのである。
政治家のアホどもは、消費税還元セールの言葉で遊んでいる前に、やるべきことがあるはずだ。
野党も、国会で寝てないで、こんな理不尽な状況について、何故質問しないのか。
これ↓をアホな政治家のドタマやと思うて、ブチッっと!

毒舌日記 ブログランキングへ
ラベル:消費税還元セール