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2013年04月11日

サッチャーになりたかった男

マーガレット・ヒルダ・サッチャーが死んだ。
小林幸子でもなければ、野村沙知代という下品でブサイクな、元野球選手の妻でもない。
イギリスの元首相のサッチャーである。

今年87歳のサッチャーは、晩年は認知症になって、人前に出るのを自ら拒否していたらしいが、そういえば、ここ何年かはマスコミに登場することもなく、その動向は人々の記憶から薄れつつあったのも事実だ。

サッチャーは、20世紀において最も有名な女性の一人であろう。

イギリスという保守的な国家において、女性が首相にまで登り詰めたという驚きだけでなく、新保守主義といわれる強硬な外交姿勢や、強引とも言える経済政策を続けたことで、イギリス経済を立て直したのも事実だ。

しかし一方では、教育予算の切捨てがイギリスの弱体化を加速させ、ビッグバンといわれる金融自由化などの政策が失業率の大幅な上昇を招くなど、その政策の弊害も大きい。
そのためか、イギリス国内だけでなく、世界中でサッチャーに対する評価は完全に2分されているのだ。

ただし、少なくとも、現在のデービッド・キャメロンというイギリス首相の経済政策などの政治手法は、サッチャーの手法とまるで同じで、緊縮財政による「小さな政府」を目指していることからも、イギリスの政治への影響は大きかったといえるだろう。

「鉄の女」

サッチャーのことを人々はこう呼ぶ。

じゃりン子チエちゃんの母親は確かに「テツの女」なのだが、この場合は、サッチャーの共産主義に対する徹底した対立姿勢に対して、旧ソ連の政府系機関紙がサッチャーをこう呼んだことから広まった言葉なのだ。
どう考えても可愛い呼び名ではないので、女性としては嬉しくないのだろうと考えるが、以外にも、本人は、マギーと呼ばれるよりも、この「鉄の女」と言われることを喜んでいたという。

その気の強さは、まさに、日本の最終兵器と恐れられる「大阪のおばちゃん」を凌ぐもので、フォークランド紛争で見せた戦争への躊躇なき即決や、イギリス議会における野党労働党の政策批判に対する強硬な答弁など、タカ派そのものの政治姿勢にはっきりと表れている。
その戦闘的な言葉は、サッチャー語録というものとなって、ネット上で語り継がれているほどなのだが、私としては、ブッシュ大統領のアホ語録やベルルスコーニのノンデリカシー語録の方が、ボケとしての完成度が高いと感じているのだが…。
そういえば、サッチャーを描いたメリル・ストリープ主演のアカデミー賞受賞作品のタイトルも「The Iron Lady」だ。
http://blog.goo.ne.jp/take16bb/e/0e6eac640c4dfae98d474532265e84fb

まあ、どんな人間も、故人ともなれば、各方面からその業績の偉大さを称える声が聞こえてくるものであるが、特に、日本の安倍晋三首相は「意志の力を示した英国の偉大な宰相だった。」とのコメントを出しているようだ。

安倍首相の新保守といわれる右傾化した政治姿勢は、確かにサッチャーにその姿を重ねる時もあるが、よく見るとかなり違うのではないかと思う。

サッチャーが首相に就任した当時のイギリスは、大英帝国の面影は薄れ、ジョージ・ソロスなどのヘッジファンドによるポンドのカラ売りで通貨の価値が大下落するなど、「英国病」と呼ばれるほど、イギリスは経済も財政も疲弊していた。
ここまでは、「失われた20年」による日本経済の沈滞と同じである。
ただし、この問題への対応をみると、サッチャーは徹底した緊縮財政を推し進めたのに対し、アベノミクスでは異次元と称される金融緩和と、ひと昔前の大型公共事業に依存した膨張予算を組むなど、その手法は正反対である。
これらは、結果さえ出ればよいのであって、どちらが正解と言う種類のものではないだろうが、少なくとも、経済政策においては、真逆のことをしているのである。

アベノミクスの結果が出ていない段階での、株価の上昇や為替相場の円安は、「雰囲気」だけで動く「相場」というものの怖さの裏返しだが、このアベノミクスが実体経済まで浸透するかどうかは、もう少し先でないと分からないのが真相だ。

税制についてみても、サッチャーは、イギリスの消費税(付加価値税)を8%から15%(現在は17.5%)に引き上げたが、庶民のために食料品などは非課税とした。
この結果、イギリスの消費税率は(現在は)17.5%であるのに対して、日本は5%なのに、税収に占める消費税の割合は、イギリスが22.7%、日本が22.3%と全く変わらないのだ。
財務省が、しきりに日本の消費税率が、欧米に比べて低いから、引き上げるべきとの宣伝をしているが、そのロジックが全くの詐欺であることは明白だ。

さて、サッチャーを勝手に「師」と仰ぐ安倍首相は、この夏の参議院選挙後に憲法改正に着手するらしい。
アルゼンチンとの領土問題であるフォークランド紛争において、サッチャーはイギリス軍を躊躇なく投入したが、安倍晋三は、あの姿を夢見ているのだろうか。

サッチャーに学ぶべきは、もっとほかにあるだろうと思うのだが…。


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posted by 8ちゃん at 15:24| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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