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2013年05月23日

飯島訪朝の意味

飯島勲68歳。
謎の多い人物である。
小泉純一郎の秘書を永く勤め、秘書官時代はプレス対応を仕切っていた時期もあるが、小泉の総裁選不出馬、政界引退を契機に表舞台から消えるのかと思ったが、著書の出版やテレビへの露出など、しぶとく生き残っている。

そして、今回は内閣官房参与としての訪朝である。
ややこしい役職だが、非常勤の国家公務員で表向きは出勤1日につき27000円の日当が国から支払われる。
勿論、官房機密費から支出されている金は非公開であるが…。

こう着状態の日朝間の政府間交渉の再開を目的とした訪朝らしいが、極秘裏に行なう予定だったものが、朝鮮中央テレビによるヘッドライン扱いの報道により、この事実が公になって、国内や関係国の関心や疑念を集める結果となった。

飯島氏は朝鮮総連とのパイプを利用しての訪朝だろうし、メディアに映し出された瞬間にパフォーマンスの色合いも強くなっているが、北朝鮮にとっては、核実験やミサイル発射といった問題で、アメリカとの2国間交渉の目処が立たず、救命維持装置とも言える中国からは、中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行という主要4銀行からの送金為替取引を停止されて、路頭に迷っているタイミングだったので、飯島訪中に飛びついたようだ。

北朝鮮の本音は、武力介入の可能性もある怖い、怖いアメリカと一定の関係を結ぶことで、金王朝の安泰を図るのが目的なのだが、四面楚歌の中で、日本との2国間交渉の可能性もあることをチラつかせながら、アメリカを揺さぶる魂胆が見え隠れしている。

今回の飯島訪朝では、異例の金永南最高人民会議常任委員長との会談がセットされ、その様子を朝鮮中央テレビが伝えていたが、これは、その姿をアメリカに見せるのが目的だ。
これを視たアメリカが、何らかのアクションを起こすのを期待しているのだ。

拉致問題についても、飯島は切り出しただろうが、当然、北朝鮮側も制裁解除などを条件提示してきたと思われる。
現在、日本と北朝鮮の間においては、ヒト、モノ、カネのすべてに制裁措置が講じられ、貿易などは輸出入ともに禁止だ。

過去の貿易実績では、北朝鮮からの輸入は、年間約150億円で、アサリなどの海産物にマツタケなどの農産物が主体だ。
輸出は年間約70億円で、バスやトラックなどの輸送用の自動車が、その半分を占めていた。

さらに、従来は北朝鮮への送金禁止の抜け道として、中国の銀行を迂回した送金がなされていたが、今回の中国内の主要銀行の送金停止により、朝鮮総連による円貨の送金が途絶えたことが北朝鮮を直撃する痛みとなっており、この状態の打開が北朝鮮では喫緊の課題となっているのだ。

北朝鮮の財政的困窮は、北朝鮮の大使館の役割を果たしてきた朝鮮総連ビルを落札した宗教法人最福寺の池口恵観氏が、45億円の資金を集められず、不落となったことからも窺える。
これは、朝鮮総連の関係者が総力を挙げても45億円が調達できなかったことを意味するのだ。
かつて、北朝鮮の外貨(円貨)獲得の最優等生だった朝鮮総連は、金庫代わりだった北朝鮮系信用組合(朝銀)が次々と経営破綻し、有力パチンコ店など構成員の離反もあって、かつての勢いはないのだ。

さて、こうした北朝鮮の窮状を契機に、拉致問題の解決が図れるのであろうか。

私は懐疑的だ。

拉致被害者の遺族の方には残酷な結果となるかもしれないが、国家機密への関与が薄い一部の拉致被害者は、その身柄を確認できるかもしれないが、大多数の拉致被害者は、北朝鮮において国家中枢の機密を知りすぎてしまった。
これら北朝鮮労働党幹部の地位にある拉致被害者は、生命の危機という恐怖心による労働党や金王朝への忠誠を偽装または洗脳されているから、自らが脱北の行動はとらないし、監視の目も厳しい。

恐らくは、何名かの消息確認と何名かの死亡確認で終わるのだろう。

一方で、北朝鮮は、制裁の停止や軽減、戦争賠償金の請求をしてくるだろう。
1965年の日韓国交正常化で有償無償合わせて11億ドル(当時の為替レート360円=1USD=3,960億円)を日本政府が支払っているので、これに見合う賠償金を求めてくることが予想される。

飯島氏の帰国後、北朝鮮は日本海に向けて短距離ミサイルを発射した。
ミサイルは、旧ソ連時代のSS21を改良したKN02型とみられるが、これは北朝鮮からの安易な妥協はしないとのメッセージだ。
一方で、日本に届かない飛距離のミサイルを使用することで、日本やアメリカへの刺激を抑える意図も含まれているのだろう。

今回の飯島訪朝は、米中韓には事前の連絡はなかったようだが、それは気にすることはない。
特に、韓国は米中との連携を強化する一方で、日本を外そうとする動きを強めている国である。
韓国の輸出の24%は中国向け輸出だが、日本向けは7%でしかない。
軍事面ではアメリカ依存である。
朴槿恵大統領は、訪米で日本バッシングに躍起になっていたが、その背景には韓国経済の停滞や、対北関係での行き詰まりが国民からの不満となり、そのスケープゴードとしての日本タタキなのだろう。

飯島訪朝は、本来なら、政治家や外務省アジア局の仕事である。
この胡散臭いラスプーチンもどきの人物に日朝関係の重要部分を委ねるのは異常だ。
ただし、飯島訪朝に、実際にどれくらいの成果が期待できるのかは、現時点ではまったく不明だが、過去何十年も成果を出せなかった外務省や日本の政治家に期待できない中で、こんなシーンがあってもよいのかも知れない。


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posted by 8ちゃん at 15:55| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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