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2013年06月12日

トルコ

ヨーロッパと中東、アジアを結ぶ位置にある人口約7千万人の国トルコ。
かつて、オスマン帝国と呼ばれたこの国は、ユーラシア大陸の大半を領土とするくらいの勢力を誇っていたが、その後は英仏やギリシャにより支配された歴史を持つ。

日本とトルコの関係は昔からとても友好的だ。
和歌山沖でトルコの船舶が沈没した時には、日本は国を挙げて救出活動を行い、日本各地から義援金も集まった。
日露戦争では共通の敵であるロシアへの勝利をともに分かち合い、不幸にして敵味方となった第2次世界大戦でも、トルコは連合国側にいながら、日本に対しては一発の銃弾も発していないなど、一切の戦争行為を行なわず、賠償金も日本に求めていない。

トルコは、中東では珍しく政教分離を標榜する国である。
オスマン帝国があらゆる宗教を受け入れた国であった伝統からか、トルコでは宗派は宗派、民族、言語などにより細分化されており、国民の99%がイスラム教など何かの宗教の熱心な教徒であるがゆえ、特定の宗教色に染まった政治が出来ない事情もあるのだ。

もっとも、政教分離の理由は、トルコが熱望するEUへの加盟をイスラムへの警戒心から拒み続けるヨーロッパ人(正確にはキリスト教徒)へのメッセージなのかもしれないのだが…。

そのトルコが今、揺れている。

10年の長期政権の座にあるエルドアン首相に対する不満が、イスタンブルの公園の開発をきっかけに爆発し、10万人を超えるデモと、それを鎮圧しようとする治安当局との間で、既に死者3名、逮捕者は2000名を超える異常事態になっているのだ。

直接的には抗議デモ参加者への暴力など、行き過ぎた取締りなどがネットで流れ、国民の感情を刺激したのだろうが、これは単なるきっかけであって、国民の中に燻り続けていた不満が、マグマのように噴出したのが実態だ。

エルドアン首相は、トルコを経済発展させたことから、国民の高い支持を得て、首相を10年続けている。
この間に、トルコのGDPは倍増し、今も8%台の経済成長を続けている。
特に貧困層にとっては、エルドアン就任前の一部特権階級の支配する政治から脱却できたことで、エルドアンの支持率は高いし、国民の約20%のクルド人も、エルドランの融和政策を支持している。

「アラブの春」といわれたイスラム圏の民主化運動においても、トルコは「目指すべき国家」と言われ、チュニジアのイスラム政党指導者ラシド・ガンヌーシ、エジプトのムスリム同胞団、モロッコの「公正発展党」もトルコに学ぼうとしている。

そのアラブ民主化の目標ともいえるエルドアンが変質してきた。

2007年のアブダビでの爆破テロ未遂事件は、クルド人との和解を目指すエルドアンを狙ったトルコ軍部過激分子の仕業ではないかと言う憶測もあって、それ以来、エルドランドは、国内過激派の捜査強化に乗り出し、大々的な摘発の結果、ジャーナリスト100人以上に加え、約250人の軍関係者を投獄している。
そして、その後も、エルドアンは、海外メディアを含む報道に対して、抑圧的な規制を引いている。

また、最近では政教分離を掲げながら、支持基盤のイスラム派の思想に偏る傾向があり、酒類の販売規制を決めるなど、政教分離(世俗主義と言う)にかげりが出始めており、そのことに不満をもつ勢力も多数いるのだ。

そして、今回の公園の開発にみられるように、高度経済成長の影で、他の国と同じような環境破壊や画一的な都市計画が行なわれ、イスタンブルでは、モスクだけは残っているものの、それ以外の歴史的な建造物は取り壊されて、西欧と同じビル群が林立している。

機能性重視の複合商業施設やマンションが増えたイスタンブルは、高額所得者の街になり、もともとの住民は片隅で暮らすしかなくなった。
ビル建設のため、貧困層が強制的に住居を追われることもあった。
今回の抗議デモの原因となった、商業施設の建設計画がある公園も、イスタンブルでは貴重な緑地なのである。

それだけではない。
案外、トルコという国を詳しく知る日本人は少ないが、この国は、多民族国家である。
トルコが位置するバルカン半島やアナトリア半島は、交通の要所であり、歴史的にも多くの民族が入れ替わり立ち代り、入植してきた場所である。
このため、イスラム教徒では宗派のほかに民族は、トルコ人、クルド人、アルバニア人などに分かれ、キリスト教もギリシア正教、アルメニア正教、シリア正教といった宗派に分かれている。
こうして、民族、宗教により隔てられた集団の集合体がトルコと考えた方がよさそうだ。

こうした民族間の不満は、政教分離というトルコ政府の方針により、かろうじて顕在化しなかったが、エルドアン首相の政治姿勢が自身の支持基盤であるイスラム派色を強めていくに従い、国民の不満が蓄積されていったのであろう。

今回の、反政府デモにおけるトルコ治安当局の対応は、極めて暴力的、強権的である。
エルドアン首相はデモの参加者を「暴徒」と呼んでいるし、話し合いのテーブルにはつく気配がない。

しかし、どんなケースであっても、平和的な抗議活動に対して、武器、暴力をもってそれを鎮圧することは許されない。
このような騒乱で被害を受けるのは、いつも女性や子供なのだ。

日本は、オリンピック開催予定地のライバル国の窮地をほくそ笑むといった情けない国ではないはずだ。
今こそ、親トルコ国として、トルコの混乱に対する国際的貢献を行なうべきであろう。


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posted by 8ちゃん at 11:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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