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2013年07月24日

限界集落


山口県周南市における男女5人の連続殺人、放火事件は、付近住民だけでなく日本中に大きなショックを与えている。
山口県警は260人態勢で付近の捜索を行なっているが、重要参考人とみられる63歳の男性の消息は未だ不明のままだ。
勿論、この男性は現時点では重要な参考人であり、報道各社の犯人確定扱いの報道姿勢には問題があるが、この男性が事件の重要な部分に関与している可能性は高いのだろう。

この事件をみて、私が感じたのは事件そのものの奇怪性もそうなのだが、被害者が4世帯で僅か5名であることと、その誰もが高齢者であることである。
さらに、付近住民に防犯上の避難誘導をして、避難した住民の内容が5世帯9名なのである。

限界集落。

高知大学にいたころの大野晃教授が作り出した言葉である。
そこに暮らす住民にとっては、いかにも失礼な言葉なのだが、定義らしいことを言えば、「過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落」ということらしい。

国土交通省が平成20年に実施した調査では、65歳以上が人口の過半数を占める集落は全国で7,878集落。
このうち、集落としての機能維持が困難になっているものが2,917集落である。
さらに、このうち423集落は10年以内に消滅する可能性があるという。

限界集落と言えば、山間部、離島などの交通の不便な場所を思い浮かべてしまうが、実は、都会においても老人ばかりが住む大規模団地などでこの傾向は進んでいるのだ。
大型団地などにおいて入居時期が同時期の人々が次第に高齢化して、新しく入居する人が少ないケースで、孤独死などがかなりの頻度で発生している。
また、都市化の進行によって都心地域の人口が空洞化して、高齢者世帯が都心地域に取り残されるケースもある。
都市中心部で小学校などが次々と廃校になっているような地域である。
人のつながりが薄い都心部ではかなり深刻な問題である。

限界集落のうち、山間部や離島などの状況を分析すると、昭和30年代以降の高度成長時代は、産業構造が転換し、地域間の経済格差もあって、山間部の人口は減少していく。
働く場を求めて出て行くのである。
人口が減ると、農業などの共同作業が出来にくくなり、祭りや地域の清掃なども廃れてくる。
そして、地域の寄り合いなども開催されなくなって、集落の自治、生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまうのである。

ここには、就学児童など未成年者の世代がいなくなり、独居老人やその予備軍のみが残っている集落が多くなり、病身者も少なくないのだが、これらの地域では、無医地区もあり、小児科医、産婦人科医は殆どない状態だ。

この状態は、更なる若者の流出を誘引して、結果、高齢化率は上がり、学校が消え、郵便局が消え、商店が消え、交番が消え、病院が消えてしまうのである。

総務省自治行政局過疎対策室は、平成20年8月に、「過疎地域等における集落対策の推進について」という通達を出して、限界集落対策を出しているが、その内容は、集落機能の維持に焦点をあわせた内容でしかない。

集落を支援する人を組織化し、集落の問題点などを点検すると共に、居住者と話し合って、地域の実情に合致した集落の維持・活性化策を図るというものだ。

そして、集落機能の維持が困難な場合には、他の地域との統合を促進したり、場合によっては、集落自体の移転についても検討するらしい。

遅すぎないか。

過疎の問題は、昭和40年代から行政上の課題になっていた。
そして、この頃から行政が行なってきた過疎対策は、公共事業だけだったのだ。
過疎の根幹的な理由を検討することなく、山村部などにおいて、大規模な道路、河川、砂防工事、土砂崩れ対策の事業などの公共事業が次々と行われ、巨額の予算を投入してきたのである。

地域の産業育成、雇用問題、少子化対策などはこれらの大型公共事業の影にかすれてしまっていたのが実情だ。

そして、その公共事業がもたらしたのは、過疎地域の活性化ではなく、ゼネコンなどへの巨額の利益とそれにぶら下がる政治家や地域利権者の預金通帳の残高を増やしただけではなかったか。

バブルがはじけ、公共事業に湯水のように金を垂れ流せなくなった、90年代になると、補助金や公共事業の削減が、過疎を加速させ、限界集落問題が顕在化してきたのである。

過疎地域といわれる集落に生活する国民は、約1000万人である。
過去40年間で過疎地域の人口は約半減して、この数字になったのだが、この1000万人と言う数字は、国民全体の8.4%である。
しかし、この8.4%の国民が住む過疎地域の面積は、日本全体の面積の54.1%を占めるのである。
日本はここでも2極化が進行しているのである。

限界集落に対する処方箋は、なかなか出てこない。
夕張市では、過疎地域の住民の市街地への転居を当該地域に住む住民に提案している。
病院や学校のある市街地への集中化により、行政面でのフォローが行ないやすくなるのである。
一方で、地域に対する住民の愛着心や市街地への嫌悪感や不安もある。

行政の関与の方法が問われているのだ。


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posted by 8ちゃん at 10:43| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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