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2011年12月27日

弁護士による情報流出

東京都足立区北千住の北千住パブリック法律事務所の弁護士が、婦女暴行事件の被害者情報や担当する裁判員の経歴情報などをネット上で閲覧可能な状態にしていたとのニュースが飛び込んできた。

何をしてくれるんや。

婦女暴行事件など、公判においても被害者の人権には十分な注意が払われ、傍聴者の目を避けるため、音声のみによる法廷証言が行われるケースもあるなど(十和田市2女性強盗強姦事件)、慎重な配慮のもとに行われるのが通例である。
親告罪である婦女暴行事件における告訴人にとって、告訴や公判は強い精神的苦痛を伴うものである。
また、捜査の過程において被疑者の供述などから判明した他の事件への関与がある場合など、捜査員は新たな被害者に対して、本人が「忘れたい忌まわしい出来事」を掘り返すような告訴をお願いし、人権、情報秘匿に対する十分な配慮を約束して、告訴状や調書を作成するのだ。
そんな情報が流出したのではたまらない。

今回は、裁判員候補者の経歴や電話番号も外部に流出した可能性がある。
裁判員は死刑該当の凶悪事件など重大な刑事事件を裁くこととなるので、被疑者やその関係者から報復等を受ける可能性があるため、その情報管理につて機密性が保持されるのは当然である。

弁護士は事件に相応しくないと認められる裁判員を最大4名まで忌避する権利を有するため、裁判員法31条により裁判員候補者の情報が与えられる。
なお、弁護士は裁判員の情報を被疑者に伝えることも出来るが、これについては問題視する意見も多い。

裁判員の情報を弁護士が得ることが出来る理由は、公平な裁判の確保という目的もあるが、弁護士という職に対する社会的信頼が背景にあるのだ。
今回のような情報漏えいがあれば、これを問題視する意見も出てくるだろう。
それにより裁判が検察有利へと流れていくことのないように祈りたい。

さて、YAHOOなどのメーリングリストは複数のユーザーが同時に情報を共有できるため、大型事件の弁護団などが頻繁に利用している。
通常は管理人が閲覧制限をかけるため、一般の人間がメーリングリストの内容を知ることはないが、本件では、その閲覧制限が設定されていなかったのだ。
北千住パブリック法律事務所は、比較的若手の弁護士も多いので、IT知識も十分あるだろうと思うのだが、どうしてこのような基本的な失敗を犯したのか。
日本弁護士会の調査では、このほかにも全国で10件程度のメーリングリストに情報管理上の問題があったとているが、弁護士会の調査はこの問題が出た26日の夕刻に各地の弁護士会を通じて所属する弁護士事務所に対し、FAXで注意を喚起しただけなので、実態については闇の中である。

事が事だけに今後は名誉毀損などの刑事事件や、著しい精神的苦痛などに対する損害賠償請求事件といった民事訴訟に発展するのは避けられない。
所属する東京弁護士会も弁護士自治を唱える以上、懲戒処分を行うこととなるだろう。
ただし、刑事罰や損害賠償の金員を得ても、損なわれた個人の尊厳が回復することはないのだ。

今回の弁護士事務所は東京弁護士会が経済的に支援する公設弁護士事務所である。
北千住は公設事務所の中でも主に刑事被疑者を弁護する事務所だ。
刑事被告人には国選弁護士がつくが十分な弁護活動が期待できないケースも多い。
法テラスなども含めて、弁護士会では社会的弱者のための弁護活動に力を入れているが、公設事務所はその実行部隊である。
収入的には公設に所属する弁護士など刑事事件を扱う弁護士は儲からない。
破産事件や会社更生事件、企業のM&Aに関与する弁護士が1回で億単位の報酬を稼ぐのとは対照的に、小沢一郎の弁護団などの例外を除けば、刑事事件の国選弁護士の報酬は、刑事訴訟法に定める「訴訟費用」が報酬となるため、裁判に何年かかっても50万円を超えることはない。

公設弁護士事務所は人件費や事務所の家賃など維持経費の一部を弁護士会が負担することで国選弁護士制度を維持しているのだ。

こんな事情から(弁護士過剰の現在では状況は変わりつつあるが)司法修習後には大きな弁護士事務所を目指すものが多く、刑事事件専門の事務所に行く者はあまりいなかったらしい。
しかしながら、その中には法の下の平等や社会正義の実現など真の意味での弁護士を目指す者も少なからずいたし、それが本来の弁護士の姿かもしれない。

弁護士達も難しい司法試験に合格したのだから、巨額の報酬をもらって、銀座や北新地で綺麗なお姉さんに囲まれたい気持ちも分る。
その一方で、公設弁護士事務所のように社会的弱者を弁護している弁護士もいるのだ。
したがって、今回の事件で公設事務所そのものが非難される必要は全くないのだ。

弁護士は知り得る秘密が他の国民に比べて段違いに多い職業である。
離婚訴訟では痴話話の域を超える話も聞くだろうし、金銭を取り巻く泥沼の人間関係も掌握しないと準備書面が書けないのだろう。
ところが、日常的に秘密に接しているとその重要性や秘匿性を感じないほど弁護士達の感覚が麻痺しているのではないだろうか。
今回の重大な失敗を契機に全国の弁護士には改めて自覚を促したい。
posted by 8ちゃん at 11:33| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

事件の情報が閲覧可能だったということだけはニュースで聞きましたが、そういうことだったのですか。

企業でもコンプライアンスの遵守が強く求めれらている時代、弁護士の方にも注意してもらいたいですね。
Posted by モカ at 2011年12月29日 15:20
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