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2013年10月22日

有給休暇お買い上げ?

週刊ポストの11月1日号に賃上げの手段として、有給休暇の買取を実施してはどうかとの記事がある。
これが、NEWSポストセブン(小学館が発行する「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」「マネー ポスト」4誌を統合したニュースサイト)で紹介されて話題になっているのである。

記事の趣旨は、安倍政権が労働者の賃金を引き上げることが重要と言い続けているのに反し、世の中の賃金は一向に上昇しないことへの提言らしい。
有給休暇など、どうせ消化出来ないのだし、有給休暇をまったく取っていないサラリーマンが全体の23%もいるのだったら、労働者からの要請があったときに、企業が正当な対価で有給休暇を買い取るように法律をつくれば、懐に入る金が増えて、景気回復につながるというものだ。

恐ろしい世の中である。

有給休暇の買取が厚生労働省の通達により禁止されているのは、働く者の権利を侵害し、健康を害する危険性があるからだ。
有給休暇が消化できていなという実態だけを見て、その背景にある過酷な労働実態を見ていない論理だ。
サービス残業やパワハラによる持ち帰り残業など、労働者の心身を蝕む一方で、有給休暇の取得を口に出来ない職場こそが問題なのだ。
有給休暇を買い取る法律を作るのなら、有給休暇をとらせないくらい労働者をこき使う企業に罰則を与える法律を作るべきだろう。

さらに、有給休暇のある職場はましだ。
非正規雇用労働者にも形式上は有給休暇があるが、その雇用形態の不安定感から、取得するのにも相当な勇気がいるのが実態だ。

このニュースを見て、感じたのは運動の方向性が違うということだ。
有給休暇を世界中で一番使っていないのは日本なのである。

日本人が1年間に取得できる有給休暇の平均日数は16日だ。
これは、フランスの37日、イタリア33日、オーストラリアとオランダ28日、イギリス26日などと比べると、あまりにも少ない。
しかも、この少ない有給休暇さえも年間8日しか消化していないのである。
ちなみに、フランス人の有給休暇の消化は、35日、スペインやイタリアでは27日、あの勤勉といわれるドイツ人も25日の有給休暇を消化しているのである。

こんな状態では、口が裂けても「日本は先進国」などとは言ってはいけないのである。
企業や政治家は国際的に恥ずかしいという感情を持つべきであろう。

有給休暇まで売って、会社に尽くしても、健康を害すれば簡単に捨てられることに気付くべきだろう。


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2013年10月18日

第185回臨時国会(急)

この国会では、こんな単語が飛び交うかもしれない。
改憲のための国民投票法、集団的自衛権、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、特定秘密保護法案である。
これらは、別々の議論のようだが、実は根元は一緒なのである。

頭が痛くなりそうなので、これらを簡単に解説すると、

まず、国民投票法であるが、憲法改正が具体的にどんな手順で改正されるのかというと、@改正案が国会に提出→A衆参両院で審議し、それぞれ総議員の3分の2以上の賛成で議決→B国民に提案(発議)されて、国民投票で過半数の賛成で承認されるといった手続きになるのだ(憲法96条)。

「何や、分かりやすいやんけ」
と、おっしゃるアナタ。

このように分かりやすいものを複雑怪奇に解読したり、バカボンのパパ的に解釈したりするのが政治家の特技ではないか。
憲法第9条なんかも、海外の友人に言わすと、「シンプルで分かりやすいやんか。」と大阪弁で感心するのだが、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と書いてあっても、自衛隊は、「陸海空軍その他の戦力」ではないと説明しなければならないのだ。

自衛隊の諸君もその存在自体が「解釈」といった不安定なものではなく、「国防のための軍を擁す。」という記述に憲法を改正すればよいと思うのだが…。

そんな「解釈大国ニッポン」にとっては、憲法改正の国民投票についても、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。(憲法96条)」と書いてあるのだから、分かりやすいはずなのだが、「国民って何歳までや」とか「過半数って、何の過半数なんや」といった解釈論が乱舞するらしい。

まあ、この国民投票に関する法律が平成19年までなかったのもおかしな話ではあるが、この平成19年に、過半数=有効投票の過半数とか、国民投票の時期=国会で発議してから、60日〜180日後に国民投票を行うとか、中には、「投票用紙(縦書き)にあらかじめ印刷された「賛成」または「反対」の文字(いずれもルビ付き)のどちらかに○をつける方法で投票を実施(国民投票法57条:原文のまま)」とかいった、実にマニアックなルールが決まっている。

もっとも、「有効投票の過半数」ということは、例えば、投票率が50%だと、有権者の4分の1が賛成すれば憲法が改正されるといった問題も出てくるのだが、そこは誰も文句を言わないのが不思議だ。

今国会では、この国民投票に参加できる国民の年齢を「満18歳以上」とする関連法案を審議する。
平成19年の法制定の時に、国民投票のできる年齢を「満18歳以上」と決めたものの、他の選挙では「満20歳以上」となっているため、この整合をとる法律を作るのである。
つまり、憲法改正の最終的な実行段階での環境整備である。

一方、集団的自衛権の議論、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、特定秘密保護法案については、まさに三位一体である。

集団的自衛権とは、他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う権利なのだが、今までの政府解釈によると集団的自衛権とは、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」として、憲法第9条の下において許容されないという解釈を国会で述べてきた。

ところが、安部政権は、この政府解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しようとする方針を打ち出している。
そして、その具体的な内容を決定するために、議員立法によって国家安全保障基本法を制定するのである。

しかし、これは、憲法と言う上位の規定を法律と言う下位の規定で駆逐しようとする考えではないのだろうか。

そして、その国家安全保障基本法では、自衛隊が大きな役割を果たすことが想定されていて、自民党の憲法改正案に書かれた自衛隊の任務の中に、国内治安維持活動を入れているものを改憲前に先取りする内容になっているのである。
さらに、その自衛隊が行なう国内治安維持活動を有効に運用するためには、情報コントロールが不可欠となり、特定秘密保護法案が今回出てくるのである。

自民党の憲法改正案の9条の2は、国防軍に関する条項であるが、そこには、このように記されている。
(前文略)
1. 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
2. 前2項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
3. 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

この自民党の憲法改正案では、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」と表現する集団的自衛権を認め、「公の秩序を維持」するために国防軍が治安維持活動を行い、「機密の保持に関する事項は、法律で定める」として、機密の定義を法制化しようとしている。

つまり、この自民党の憲法改正案により、特定秘密保護法も集団的自衛権、国家安全保障会議(日本版NSC)も見事につながるのである。

この中でも、あまりメディアに出てこないが、国家安全保障基本法とうのが、かなり危険な法律なのである。
その中身をみると、政府の各省庁の行政に国家安全保障政策を優先課題とし(第3条2項)、国民には国家安全保障政策に協力努力義務を課し(第4条)、自衛隊の海外派遣を恒久的に法制化して、国連の要請や決議がなくても政府の判断で海外へ自衛隊を出動させて、武力行使が出来る(第11条)ほか、武器輸出三原則さえも撤廃しているのである(第12条)。

そして、身近な問題では、国家安全保障基本法案の第3条3項(「我が国の平和と安全を確保する上で必要な情報が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる。」)において、秘密保全法制定を規定しており、これに対応する特定秘密保護法案では、特定秘密の範囲が広範かつ不明確なまま、知る権利の制約の問題など、十分な議論がなされるのか疑問だ。

この特定機密保護法案には、政府自身が実施したパブリックコメント(公開意見集約)の集計でも、約9万件の意見のうち特定機密保持法案への賛成は1割強にとどまり、反対意見が8割もあったのである(残り1割は「わからない。」)。
行政の都合で「秘密」とか「機密」に指定された情報をすべて刑罰の対象とするのは、極めて乱暴だし、この脅しでメディアや国民を遠隔操作するという仕組み自体が、自民党支持者の中でも警戒されたのであろう。

「国家機密」という言葉に接するたびに、私は、沖縄返還密約に関する機密文書をスクープし、時の政治勢力により、冤罪を着せられて投獄された毎日新聞の西山太吉記者のことを思う。

国が、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼす」と認めれば「機密」になり、国会にも公開しない「機密」を取材も出来ないメディアしかいない未来の日本。

圧倒的多数の与党と、知恵も勇気もない野党の狭間で、日本の未来を決める重要な法案が、審議されようとしているのである。


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2013年10月17日

第185回臨時国会(破)

安倍首相は来年4月の消費税引き上げを決定した。

この国会では、消費税の導入が「景気の腰折れ」を招くだろうとの予測から、その対策が議論される。
具体的な補正予算案は、年明けに審議されるが、税制改革については、12月の自民党税制調査会に間に合わす必要があるため、今国会で骨格ができるのだ。

「景気の腰折れ」と言っても、「景気のどこに腰があるんじゃ!」と腰の位置が確認しづらくなった大阪のおばちゃんが騒ぎそうだが、消費税導入直前の来年3月までに賢い消費者が買いだめなどをして、その反動により、4〜6月の個人消費が2兆円ほど落ち込むとしているのである。
このほかにも、消費の冷え込みで販売減が大きくなれば、企業は投資や給与アップに資金を振り向けなくなるとの見方もある。

賃金など、可処分所得が一向に増えない中での支出の増加は、我々貧乏人の生活を直撃するのだから、この買いだめ行為は、生活防衛上当然のことであり、地球防衛軍もウルトラ警備隊も許してくれそうだ。

この消費税導入に伴う、「景気の腰折れ」を回避しようと、自民党が考えている政策が、消費税の増税により、増加すると皮算用している税収8兆1千億円のうち、5兆円を使ったこんな政策だ。

@ 住宅ローン減税に1100億円。
A 市町村民税の非課税者2400万人に1万円、年金受給者400万人に1万5千円、総額約3000億円を贈与。
B 震災復興費用を賄うため法人税率を上積みしていた「復興特別法人税」を撤廃して、企業に9000億円の減税。
C 設備投資をした企業に7400億円の減税。
D 震災復興のための公共事業としてゼネコンに1兆1000億の工事を発注。

現金を配るといった一過性の政策はどうかなとも思うし、住民税の非課税者や年金受給者の中には、巨額の金融資産で食ってる大金持ちも相当数いるのでややこしい。
住宅ローン減税も、家を買えるような人間は消費税の3%アップで喰えなくなることはないだろう。

それ以外の政策は、全部が巨大企業向けのものではないか。
中小零細企業には投資など出来ないし、法人税も赤字で支払っていないから「復興特別法人税」の廃止にもまったく縁がない。
ただし、消費税だけは赤字であろうがなかろうが、売り上げに比例して確実にむしりとられるのである。

しかも、お気づきだろうか。
これらの政策に要する予算の合計は、3兆1500億円なのだ。
つまり、5兆円のうち約2兆円はその使用方法が決まっていないというから驚きである。

やるべき事の方向が違うだろう。

生活困窮者に金をばら撒けば解決するという発想は、枯れた芝生にグリーンのペンキをぬってごまかすのと同じ発想だ。
何故、芝生が枯れたのか、何故、日本に生活困窮者が溢れているのか。
非正規雇用労働者の問題や企業の使い捨て体質にメスを入れずして、問題は何も解決しないのだ。

そして、消費税の増税は、明日の、若者達の社会福祉と一体的に論じる問題であったはずだ。
8兆円も増税して、その6割以上もの金を大企業のために使うのなら、そんな増税は詐欺だ。

過去に3%の消費税導入、5%への増税の時も、国の借金である国債発行残高は増え続け、福祉は切り捨てられ続け、今回も既に、年金や手当は削られ、電気、ガス、牛乳や卵、小麦などの値上げラッシュで国民は消費税導入前から苦しんでいる。

国会議員のアホどもよ。
国民はオマエ達が国会で何を議論するのかをしっかりと見ているぞ。


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